爽やかな風があたし達を撫でる。

でも、今はこの風を心地好く感じない。

いつもならそうじゃないんだろう。



沈黙に耐えられなくなったのか、

尚輝が口を開いた。


「なあ…。俺が悪いなら言えって」

「…言えないもん。もういいよ」



そう、あたしは言えないの。

いいんだ。

尚輝に嫌な思いをさせたくないから。




このままでいいの。

そう、このまま―――……。