確かに、私の正体を知ってる2人は今更態度は変えないやろ。
翠「それでも、怖いよ。私の全てを知ったら…皆離れてしまうよ。」
ぎゅっと白棹の着物を握る。
白【そう思うだけ、翠は奴らを受け入れてきたんだな。ここに来る前は、来るもの拒み、去るもの追わずだったのに。】
クスッと笑い翠の頭を撫でる白棹。
白【わからぬ訳では無いな。あれだけこちらの事情も考えぬ輩も珍しい。
関わるなと言う方が難しいな。】
翠「白、どうして私に優しくしてくれるん?」
不思議だった。白棹は今までの器に対してこうして慰めた事はないと昔聞いたことがある。ならば、何故私には優しくしてくれるんだろう?
白【我を唯一、力で押さえなかったのは貴様だけだ。そんな貴様を気に入っている。それだけだ。】
そうして、更にきつく翠を抱き締める白棹。
その力強い腕に安心する翠。
翠「1時間、1時間だけ…このままでええ?」
白【構わぬ。貴様はまだまだ子供なのだ。無理をする必要はない。】
五百年も生きている白棹にしてみれば、翠などまだまだ子供なのだろう。
しかし…
翠「見た目が成長しない白棹に言われると微妙やな」
白【…台無しだな。色々。】
そんないつもの会話をして見つめ合い、2人でクスクスと笑う。
そして1時間後、教室に戻ったのだ。


