陰陽姫 闇の果てに待つのは…



ガチャッ

バタン

翠「ハッ…ハッ…ハッ…くそっ!」

一気に階段を登り屋上に入ってガンッと扉を殴る。

白【翠…平気か?】

白棹が心配そうに見てきた。

翠「…うん。大丈夫…」

そうは言うが、手は震え目も泳いでいる。

ポンッ

白【我は、わかっているぞ。少し泣くと良い。その方が今はスッキリするだろう。】

実体化した白棹が優しく翠を抱き締める。

翠「けど…誰か来たら」

白【ここはあまり人は来ぬだろう。肩の力を抜くが良い。】

ポンポンと背中を軽く叩かれ白棹に凭れる。

翠「……フッ……ウッ……グスッ…」

白棹の肩口に顔を埋め声を殺して泣いた。

白【翠はいつだって人と関わろうとしていた。それを拒んだのはいつだって人だ。何も知らぬとは言え、あんな事言われれば悲しいな。】

コクン

白【だが、ここの奴らは信じれるやも知れぬ。橘と伊吹はわからぬが少なくとも、樟葉と烏山は翠を拒まぬよ。】