翠「はぁ…はぁ…はぁ…くっ!」

白【翠、大丈夫か?】

翠「平気、それより妖は?」

白【近い。そこの部屋だ。】

白棹に言われ、直ぐ近くの教室のドアを少し開ける。

翠「いた。1、2、3…全部で10体か。まとめて片すわ。」

翠は札を取り出し

翠「"紅蓮の焔を纏いし鳥よ、闇より出でし者を焼き払い、清めたまえ。"」

シュッと妖の群れに札を投げると、たちまちそれは大きな焔の塊となり、しかしよく見ると鳥の姿をしていた。

「キィィィィ!」

一声鳴くと、一気に暗い室内を赤い光が満たす。

そして、光が治まる頃には室内は何事もなかったようにしん、としていた。

翠「今夜だけで、もう15体。日に日に増えとらん?」

白【そうだな。しかし幸い行方不明者は出ておらぬ故、今はこちらだけ集中出来る。】

翠「確かに。けど、そうも言ってらんないよね。早く見付けないといけないし、妖が現れる原因も突き止めないと…」