『…姫…姫!目をお開けください!私を置いて逝かれる気か!!』

どんなに呼び掛けようと彼女が目を開けることはなく、彼は彼女を抱き締め大声で泣いた。

『…は…ぁ…あああぁぁぁ!!
…どうして…どうしてこんなことに…!』

その声が届いたのかジリジリと妖が集まり始めていた。

彼は彼女の肩口に埋めた顔を少し持ち上げ、涙で濡れた目で妖達を睨む。
その顔は炎の灯りで照らされ、まるで血の涙を流しているようだ。

『…アヤ…カ…シ…
そちらに行けば…お前達を寄越した親玉に辿り着けるか!!』

妖達は頷き、彼に付いてこいと言うように目配せする。

『決して許さぬ。必ず私が仇を討つ!たとえ…』