希美サイド


櫻庭高校から3km離れた白い建物。門のところには『ヒマワリの家』と書かれている。暗く寝静まった建物で一室だけ灯りがついた部屋があった。

部屋の時計に目を向け、希美は何度目かの言葉を呟いた。

希「…遅い。」

時刻はそろそろ午前1時を回る。それなのに拓海も龍之介も帰ってこない。

希「…携帯にも出ないし、何かあったんじゃないかしら。」

何か、と考え翠の顔が浮かぶ。

希「まさか。あの子は誰よりも他人を巻き込まないようにしてるはず…」

ユラ

希「?」

何かが揺らいだ気がした。

希「何かしら?外?」

急いで外に出て驚く。

希「何、この邪気…私の結界が圧されてる。」

揺らぎの正体は希美がこのヒマワリの家に掛けた結界が外からの邪気に圧され、弱まっているのが原因だった。