翠「チッ!!どこぞの馬鹿が封印を弱まらせやがったな!?」

緋【そうゆう事よ。しかし、ここを封印した術者が相当な実力者だったのか、こうして今日までもっていたのだろうな。】

緋月は天を見上げ、愉快そうに笑う。

緋【しかし、それも今宵まで。月は満ち、天高く昇ったその時、我の力は最大限に増す。】

いつの間にか昇り始めた月に手を拡げ光を一身に浴びる緋月は美しく、否、美しすぎた。

ゾクッ

翠(…あの頃より、鮮明に感じる。コイツの純粋な邪気を…
怖い…けど、コイツに龍脈を渡す訳にはいかない!)

震える手を必死に抑え気丈に振る舞う。

翠「…拐った娘達を返せ。生気を喰らったならもう必要無いんやろ?」

緋【ふむ。返してやりたいところだが、我が目を離した隙に低級な妖が喰うておったわ。済まぬな。】

全く悪びれず謝罪する緋月に唇を噛む。