3つのナイトメアー



る。連れてきた責任があったにせよ、人の子供の方を優先して身を投げうって


救いだすなんて、誰にでもできることではない。そんな麻衣を、どうしてこれ


以上責めることができよう。美樹は、首を振りながら必死の思いを込めて言っ


た。


「麻衣さん、彩乃を助けてくれて本当に有難う。彩乃のことは、もう心配しな


いで。それより、彩乃のために麗奈ちゃんにもしものことがあったら、私、申


し訳なくって。でも、きっと、きっと麗奈ちゃんは助かります。神様は、麗奈


ちゃんみたいないい子を見殺しにするはずないわ」


「美樹さん、ありがとう」


 二人の母親は、泣きながら手を取り合った。


 その時、その様子をずっと物陰から冷たい目で傍観していた影が、すっと動


いた。美樹と麻衣の前に現れたのは、三品直美だった。彼女は嘲るような顔


で、切り口上に言った。


「麻衣さん、お芝居は、もうその辺でお終い