「私、彩乃ちゃん一人助けるのが精いっぱいで。麗奈はそのまま川に流されて
しまった。今、救急隊員の人が、必死で探してくれてるの」
麻衣はそれだけ言い終えると、涙で顔をグジャグジャにさせて激しく号泣し
た。
「麗奈、麗奈。お母さん、助けてあげられなくてごめんなさい。お願いだか
ら、どうか、どうか無事でいて」
「ママ」
その時、彩乃が意識を取り戻した。
「良かった~」
美樹は、彩乃の頬を両手で包みこんだまま、ゆっくりと撫でさすった。安堵
の涙が頬を伝う。
「彩乃ちゃん、本当に助かってよかった。怖い目に遭わせてごめんなさい」
憔悴しきった麻衣が、無理に作り笑顔をして言った。麗奈の安否が気になっ
てたまらないだろうに、彩乃の身を気づかってくれてい
