3つのナイトメアー



「私、彩乃ちゃん一人助けるのが精いっぱいで。麗奈はそのまま川に流されて


しまった。今、救急隊員の人が、必死で探してくれてるの」


 麻衣はそれだけ言い終えると、涙で顔をグジャグジャにさせて激しく号泣し


た。


「麗奈、麗奈。お母さん、助けてあげられなくてごめんなさい。お願いだか


ら、どうか、どうか無事でいて」


「ママ」


 その時、彩乃が意識を取り戻した。


「良かった~」


 美樹は、彩乃の頬を両手で包みこんだまま、ゆっくりと撫でさすった。安堵


の涙が頬を伝う。


「彩乃ちゃん、本当に助かってよかった。怖い目に遭わせてごめんなさい」


 憔悴しきった麻衣が、無理に作り笑顔をして言った。麗奈の安否が気になっ


てたまらないだろうに、彩乃の身を気づかってくれてい