「説明は後や。場所は分かってるな? とにかく、一刻も早う来て!」
美樹は、訳が分からないまま、なりふり構わず家を飛び出した。胸の中で
は、どうして二人は川に落ちたのかという疑問と、とにかく彩乃の無事を祈る
気持ちとが、激しく交差した。かけつけたその場所には、すでに救急車やパト
カーがきており、美樹はその人だかりをかき分けて前に進んだ。顔が紅潮して
きて、心臓がどくどくと波を打つ。彩乃がぐったりとして、麻衣に抱きかかえ
られている姿が目に飛び込んだ。麻衣は美樹を見るなり、堰を切ったかのよう
に喋りはじめた。
「美樹さん、私が連いていながら、こんなことになってしまってごめんなさ
い。目を離しているすきに、彩乃ちゃんと麗奈が誤って橋の欄干から落ちた
の。私、夢中で飛び込んで、彩乃ちゃんを救いだしたの。水を吐かせたからも
う大丈夫。気を失っているだけだから」
「麗奈、麗奈ちゃんはどうなったの?」
