物を楽しんでいる姿は、更に謎めいて魅力的に見えた。悩んだ挙句、ようや
く一着のワンピースを選びだした麻衣が、キャッシュで支払いをしている。
その豪華なパーティー用の一着は、美樹の予想を超えた額らしく、かなり厚
めの札束が目に入った。
「本日は有難うございます、浅見様。また、お葉書差し上げますわね」
店を後にした麻衣と美樹に向かって、山根というファッションアドバイザ
ーが、店の出入り口のところで、ずっと腰を折ったままおじぎをしている。
その丁重さに気遅れしている美樹に比べて、麻衣はさりげなくも颯爽として
いて、いかにも物慣れた様子である。
「麻衣さん、さすがはシャンネルですね。お店の人といい、雰囲気からして
全然違いますね。よく来られるんでしょう?」
「いいえ、ここ最近はご無沙汰しているの。だから、今日は思い切って買っ
ちゃった。こんな派手な服、いつ着るのかしらね。全くの
