紀のことをよろしくな。早紀、はよ行くで」
一気にそれだけ喋って去っていく直美の後姿を、美樹は彩乃の手を握った
まま茫然と見送った。これから、このがさがさとした品のない女と、付き合
いが続くであろうことに、やれやれと溜息をつきながら、自宅に向かった。
その時美樹は、自分と、麻衣、直美、その子供達の身に、これから起こる
出来事など、全く予測してなかった。
今日は、とっても忙しくて座る暇もなかったわ。お客様があった時はいつ
もこうで、後片付けが終わるとすぐに晩御飯の準備が待ってるから、今てん
てこまいなの。最近パパの帰りが早くなってるから余計に焦っているあたし
を尻目に、亜弓は、さっきからテレビを見て笑ってていい気なものね。亜弓
に甘いパパに愚痴ったって言うだけ無駄なんだから。
