着していた石井が、ダイニングから声をかけた。
「オ~イ、山本、オレも今来たばかりだ。携帯に、ここの奥さんから助けを求
めるメッセージが入って、急いでかけつけたらこのざまだ。」
石井が顎をしゃくった方を見ると、前回と同じように、ダイニングの出窓の
ガラスが割られている。
「山本、ここはいいから、応接室の方に回ってくれ」
山本は、小さく声をあげた。つい最近、事情聴衆したばかりの斎藤家の母と
息子が血にまみれて倒れている凄惨な姿が、生々しく目に飛び込んだ。二人を
覗き込んだ山本は、驚き叫んだ。
「石井さん! 息子さんの方、まだ息があります」
すぐさま救急車が呼ばれ、篤は苦しい息の下、
