3つのナイトメアー



 彼は、篤がかけられた言葉の意味をのみ込む隙も与えず、小雪の体からナイ


フを抜き、刃を篤に向けて突進してきた。


「やっぱり、あなただったんですね」


 篤のその言葉に、一瞬怯んだ彼の刃は篤の心臓をそれ、篤は小雪の体から出


た血の海の中に倒れた。彼は、凍りついた表情で後ずさりしながら飛び出して


いった。





 急所を外れた脇腹の傷が猛烈に痛い。篤は、息も絶え絶えに喘ぎながら、胸


の中でつぶやいた。


「あきら、本当にごめんな。死ぬ時って、こんなにも痛いんだな。あれからず


っと、毎年君の命日に、こっそりと墓に花を供え続けたけど、そんなんじゃと


ても償いになってないよな。君がこんなことになってしまった元凶の僕