彼は、篤がかけられた言葉の意味をのみ込む隙も与えず、小雪の体からナイ
フを抜き、刃を篤に向けて突進してきた。
「やっぱり、あなただったんですね」
篤のその言葉に、一瞬怯んだ彼の刃は篤の心臓をそれ、篤は小雪の体から出
た血の海の中に倒れた。彼は、凍りついた表情で後ずさりしながら飛び出して
いった。
急所を外れた脇腹の傷が猛烈に痛い。篤は、息も絶え絶えに喘ぎながら、胸
の中でつぶやいた。
「あきら、本当にごめんな。死ぬ時って、こんなにも痛いんだな。あれからず
っと、毎年君の命日に、こっそりと墓に花を供え続けたけど、そんなんじゃと
ても償いになってないよな。君がこんなことになってしまった元凶の僕
