た上、ガラス窓の下側についてある防犯ボタンもロックして二重に施錠してい
る。もし、犯人が外からガラス窓を割って隙間から手を差し込んでも、下側の
防犯ボタンまでは解除できず、窓は絶対開かないはずだ。この前は、下側のボ
タンまではロックしてなかったからいけなかったのだ。
ガラスが割られただけで侵入してきた気配はないが、不安で堪らなくなった
小雪は、石井に連絡するために、携帯のボタンを押した。繋がってほっとした
のもつかの間、背後に人の気配を感じて振り向いた小雪の目は、意外な人物を
とらえて固まった。応接室の照明をおとした薄暗がりの中で、キラリと光る包
丁を持った篤がいた。
「母さん!」
篤は、一声叫んで突進していった。包丁は、小雪の心臓にグサリと突き刺
