はどう処理してるんですか? いやあ、引く手あまたでしょうから、余計な心
配でした。オレ等と違って、羨ましい限りですよ」
「馬鹿、そんなのと違う。オレは女房に逃げられたんだ。今さらこんな親父、
誰も相手にしない。余計なこと言わずに運転に集中しろ」
「すんません」
山本は、この真面目一筋で硬派の上司に尊敬の念を感じつつ、ハンドルを切
った。
それから一週間後、篤の自宅に、再びあの石井という刑事が、今度は一人で
その後の近況を聞き込みにやってきた。小雪が、明らかに一オクターブ高い弾
んだ声で、二階にいる篤に声を掛けてから出迎えた。ダイニングで、篤が、小
雪を手伝いながら紅茶の準備を
