幸中の幸いです。最悪、殺される場合だってありますからね」
「まあ、恐ろしいこと。その通りですわ」
小雪が、大きく開いたブラウスの胸元に手をあてて、大袈裟にうなずくのを
見てから、刑事は二階にいる部下に声をかけた。
「おい、山本、写真は撮り終えたか?」
「石井さん、すべて完了しました。オッケーです」
「奥さん、我々は状況証拠を元に、この辺りのパトロールを強化して、なるべ
く早く犯人を挙げるようにしますので、その時は又連絡します」
石井という刑事は、そう約束してから部下と共に引き上げていった。
山本は、車を運転しながら上司である石井に話しかけた。
