結婚した。父に対する精一杯のあてつけだったってわけ。私をがんじがらめに
縛った父も、今は脳梗塞のマヒが残る、憐れなおいぼれに過ぎないけどね。ホ
ホホホ。でも、こんな結婚うまくいくわけないわね。私達夫婦は最初から冷え
切ってた。夫は普段紳士の仮面を被ってるけど、酒が入ると人が変わってね、
立ちあがれないほど蹴られたことがある。私達の間に子供ができなかったの
も、そのせい」
「華ちゃん、なにを言ってるの? あなたたちには、圭くんがいるじゃない」
「ホホホホ、ここが一番肝心なところよ。あんた、圭が、なんであんなに貴之
伯父さんに似てるのか、不思議に思ったことはない?」
「華ちゃん、まさか、まさか~」
「そう、圭、圭はね、貴之伯父さんの子供なのよ」
「嘘、嘘よ!」
「こんなことで嘘なんかつくわけないじゃない。貴之伯父さんが重い病で入院
した時、私
