自分のことを気に入ったと直感した。恭子は、結婚して田舎に住んだり、生活
レベルを下げるのだけは絶対嫌だった。彼なら、きっと自分の望む優雅な専業
主婦のライフスタイルを叶えてくれる。安定した結婚生活に、恋愛のときめき
はいらない。後は恭子の気持ち次第だった。
そうして、恭子は、彼、山本冬彦との結婚を決めた。華代もその少し前に結
婚していた。結婚式には出席しなかったが、後から写真入りの葉書が送られて
きた。相手は、智伯父と同じ銀行員だそうで、神経質そうな表情の裏に、抜け
目のないしたたかさがうかがえて、あまり良い印象を受けなかった。ずっと華
代が語っていた理想のタイプとはあまりにかけ離れている。多分、ワンマンな
智伯父が、娘の気持ちなどお構いなしに、強制的に縁談を進めたのだろう。
散々遊んだ後ならまだしも、まじめに過ごして清らかな体のまま、この程度の
男としか結ばれなかった華代を、心底不
