合いした相手は、公認会計士の資格を得て事務所を構えており、年齢は十歳ほ
ど上だったが、容姿もまあまあ、誠実そうな人柄で、条件としては申し分なか
った。野暮ったい服装で、女性慣れしてない面白みに欠けるところがあった
が、万事につきスマートで話術に富んだ父に裏切られた母を見てきたから、結
婚相手には、とにかく一途な生真面目さを求めた。彼はそれにぴったり合う
上、その年代のサラリーマンとは比べ物にならないほどの高収入を得ていた。
恭子が、自分の顔で唯一コンプレックスだった淋しげな一重まぶたも、ティ
ーンを卒業してからダイエットの成果が現れ、くっきりした二重まぶたになっ
て、周囲から綺麗なおじょうさんとして称えられるようになった。見合いの日
に、若さが匂い立つような振り袖姿で、ほおをほんのりと染めて恥じらうよう
にうつむいていた恭子は、相手が一目見るなり
