父親である智伯父が、恭子達母子にした仕打ちに心を痛めた華代は、恭子の
ことを気づかい、度々こちらの様子を尋ねたり、近況を知らせてきた。華代と
だけはずっと心を通わせることができた。その華代が、離婚した父が可南子を
連れて初めて正月にE県に帰省した時のことを手紙で知らせてきた。
可南子は貴ちゃ~んと言って父にベタベタするばかりで、正月帰省している
間、ほとんど台所仕事を手伝わなかった。この嫁としての自覚の無さに、さす
がの大人しい菊代おばも憤慨した。同じ都会育ちのインテリでも、質素な格好
で日がな骨身を惜しまず子供達の世話や家事にいそしんでいた母の美保子とは
大違いだと。こんな顔だけが取り柄の奔放な女に引っ掛かった父は、本当に女
を見る目がない愚か者だと。
あの思慮深い華代が、これほど自分の感情をストレートにぶつけてくるのは
初めてだっ
