う。二千万円の慰謝料の上に、恭子が大学を卒業するまで毎月まとまった額を
仕送るという条件付きで、ようやく離婚が成立した。
恭子が可南子と初めてマンションで会った日から、すでに五年の月日が流れ
ていた。
中学生になった恭子は、大人達がそうやって自分の回りを右住左住する姿を
淡々とみつめていた。五年の月日は、恭子の父への愛情と和子への憎悪を冷め
させた。恭子は、経済的に恵まれた環境の中で、母と二人の新生活をスタート
させた。その頃から、少女の殻を破り、急速に女らしく成長し始めた恭子は、
度々男子からラブレターをもらったり、デートに誘われたりするようになり、
都会のドライな娘として青春を思いっきり謳歌していた。遥か離れた父の故郷
で体験したできごとや、そこに住む人間のことなど、恭子にとっては過去の存
在だった。ただ一人、華代を除いては
