3つのナイトメアー



聞かされていた顔だ。中の一人が、恭子の肩をつかんでにやにや笑いながら言


った。


「おい、お前か? 東京から来たよそ者のくせに、偉そうにしてるってやつ


は? 結構可愛い顔してるじゃないか。少々痛い目にあってもらおうじゃあ、


あ~!」


 恭子は、相手の膝を思いっきり力を込めて蹴り、必死に駆け出していた。こ


のままじゃやられてしまう! 本能的に身の危険を感じた恭子は、もと来たあ


ぜ道を祖母の家に向かってひたすらに走った。不思議なことに祖母の家はすっ


ぽりと無くなっていて、その跡には、古びた雑貨屋のようなものが立ってい


た。背後から迫ってくる悪童たちの足音に心底おびえきった恭子は、吸い込ま


れるように店の中に入っていった。


 そこには、顔中がどす黒くすすけた感じの、気味の悪い老人が一人で店番を


していた。ほとんどの歯が抜けてぽっかりと暗いブラックホールになった口を


開けて、薄く笑いながら