聞かされていた顔だ。中の一人が、恭子の肩をつかんでにやにや笑いながら言
った。
「おい、お前か? 東京から来たよそ者のくせに、偉そうにしてるってやつ
は? 結構可愛い顔してるじゃないか。少々痛い目にあってもらおうじゃあ、
あ~!」
恭子は、相手の膝を思いっきり力を込めて蹴り、必死に駆け出していた。こ
のままじゃやられてしまう! 本能的に身の危険を感じた恭子は、もと来たあ
ぜ道を祖母の家に向かってひたすらに走った。不思議なことに祖母の家はすっ
ぽりと無くなっていて、その跡には、古びた雑貨屋のようなものが立ってい
た。背後から迫ってくる悪童たちの足音に心底おびえきった恭子は、吸い込ま
れるように店の中に入っていった。
そこには、顔中がどす黒くすすけた感じの、気味の悪い老人が一人で店番を
していた。ほとんどの歯が抜けてぽっかりと暗いブラックホールになった口を
開けて、薄く笑いながら
