出していた。祖母の家から、東側に位置する田んぼの中の、まっすぐなあぜ道
を五分ほど歩いたところに祠があって、夜誰にも見られないようにそこでお祈
りすると願いがかなうという話。
いてもたってもいられなくなった恭子は、そっと布団から抜け出していた。
隣に寝ている華代は静かな寝息を立てている。恭子は、見つからないように外
に出て、祠に向かった。があがあと鳴く蛙の声がやたらと騒がしい。月明かり
を手掛かりに薄暗い祠に入り、恭子は懸命に祈った。
「お母さんが元気になって、又東京で三人仲良く暮らせますように。可南子が
パパのことを嫌いになるか、重い病気になって死ぬかのどちらかにしてくださ
い」
手を合わせて一生懸命三回唱えた後、祠の外に出ると、いきなり年上の男の
子たちが恭子の回りを囲んだ。隆弘の比ではない、この近所の札付きの不良連
中だと、前に華代から
