凪は5コールで出た。

 「はい」

 凪は落ち着いてる子。

 煙草吸ったり酒飲んだりはするけど

 でも、喋り方は落ち着いていて。

 「好きな人だーれっ?!」

 そういうと凪は言葉を濁らせた。

 凪がどうしても教えてくれなかったけど

 私はしつこく聞いた。

 「……杉田、先輩が好きなんだあ」

 私はびっくりした。

 あ・の?

 あの杉田先輩ですか!?

 杉田先輩は、凪と同じ中学にいる。

 私たちより一つ上で、中学3年生だ。

 凪の学校で目立っている先輩達のグループにいる一人だ。

 「杉田さんって、あれでしょ!? 会うと煙草くれくれしてくる、チャラくてヤりチンって有名な…」

 そうだよ!と 凪は笑いながら言った。

 「よしっ!ウチがメアドを聞いてあげようじゃないかぁ!」

 これが、始まりだった。