「はいはい、二人とも。私の存在忘れてない?」
いじけたように瀧口ちゃんは
「まぁ良いけどさ。ところで先生。那智のこと名前で呼んでるけど、二人きりの時だけって約束だったんじゃないんですかぁ?」
って、勝ち誇った顔で先生に言った。
私と先生は顔を見合わせる。
「忘れてた…」
先生はそう呟いて
「…気を付けるよ」
と、顔に手を当てて言った。
「取り敢えず、見合いは来週の土曜日だから。朝迎えに行くけど、なんにも準備しなくていいからな」
「なんにも、しなくていいんですか…?」
私の言葉に先生は微笑むだけ。
心配なのは私だけなのかな……?
「那智の親にバレないようにして下さいよ?いきなり彼氏が出来て、しかもそれが先生なんて」
瀧口ちゃんが呆れたように言っても
「わかってる」
と、ただ一言だけ、先生は真剣な顔で言った。
それを見て、私も少しだけ安心できた気がする。


