「そんな顔しないで?」
「でもっ…」
言葉が続かなかった。
言いたいことはたくさんあるはずなのに…。
「ありがとね。私もいつか那智みたいに強くなれたら、その時は、伝えるから!自分の気持ち」
そう言った瀧口ちゃんはキラキラして見えた。
「あ、誰か来た」
瀧口ちゃんが扉の方に目をやる。
私もそっちを見た。
ここからだと、遠く聞こえる足音。
そしてバンッと音を立てて、扉が勢いよく開いた。
そこから現れたのは
―――神影先生。
息を切らして、噎せたように咳をしてる。
「お前ら…授業サボって…こんなトコで何…してんだよ。大体、那智のメールなんだよ…!“今すぐ屋上に来られし”って…」
息切れしながら、途切れ途切れに先生は言った。
「あの…」
「今噂になってる事が気になって、那智は授業どころじゃないんですよ」
私の言葉を瀧口ちゃんが遮って、思っていることを直球で先生に投げつける。
「噂って…」
先生は別に驚くこともなく
「見合いのことかぁ」
って淡々と言った。


