苺恋唄-イチゴコイウタ-

翌朝、冷蔵庫を開けて、昨日貰ったいちご・オレを手に取る。



これを先生に貰ったこと。


彼と話せたこと。


名前を教えてもらったこと。


先生がいちご・オレ好きなこと。



昨日知ったこと、嬉しかったことを思い出しながら、朝食代わりに、いちご・オレを飲んで学校に向かった。



駅でバスを降りて、いつもの通りを歩く。


横断歩道で信号待ちをしていると、向こう側にコウくんが見えた。


この人混みの中では流石に気付いてもらえないだろう…。



信号が変わって、大勢の人が歩き始める。



慌ただしく進む人の波の中で彼を探す。


さっきまで見えていたのに、歩き始めた途端、見失ってしまった。


「挨拶くらいしたかったなぁ…」



私の言葉はきっと誰にも聞こえていない。


小さくため息を吐いて俯いた。



向かって来る人の肩に触れそうになって、私は顔を上げた。



ゆっくりと歩く私の横に黒い服が見える。



「おはよ」



すれ違い様に、少し低い声が聞こえた。


振り返ると、学ランを着た後ろ姿が見える。


それは初めて見たあの日の彼と重なって見えた。