Down Mountain Field



「今日はお出かけですか?」



ふと、イチゴ柄の派手なネクタイが目に入ったから聞いてみた。
いつもは自分と同じ、茶色っぽい100均のネクタイを使っているのに、今日は金と赤の妙な色合いだ。



「はい、今日は少し約束があって。歌舞伎町に行ってきます。」



上山田先生は当たり前のように言い放ったが、俺はびっくりして手に持っていた「毎日骨太」と書かれている牛乳を落としそうになった。
歌舞伎町・・・よりによって上山田先生がなぜそんなところへ・・・
上山田先生も風俗とかにいくのだろうか。



「歌舞伎町・・・?」

「はい、何か問題でも・・・?」

「別に・・・」



なんなんだ。
いったいぜんたいなんなんだ。
このテンションの上りぐあい。
明らかに風俗に行くんだ。


いつもの1.5倍の速度で朝食を食べ終えてエナエルの鞄をもって出て行こうとする上山田先生。気付くと俺の手は勝手に上山田先生の腕をつかんでいた。



「なんですか?」


「・・・上山田先生・・・・いってらっしゃい」


夫を戦争に送り出すような気持ちだった。
上山田先生は俺の言葉を無視して無言で家を出て行った。