その日の夜、俺は仕事が終わってすぐに家へ帰った。
早く上山田先生に会って、俺がどういう気持ちなのか伝えたかった。
たとえ彼女がいたとしても・・・
家に着いてドアを開けようとしたとき、ふと上山田先生が作った表札が目に入った。
「もう松下先生だけの家じゃないんだから表札は変えなければいけませんね」と上山田先生が表札を変えたのだ。上山田先生がモールで作った表札には、<上山田と松下の愛の巣>と書かれていた。「冗談ですよ」と顔を真っ赤にしながら作っていた上山田先生を思い出して胸がぎゅっと痛くなった。
ドアを開けて家に入ったが、玄関にあるはずの小さい靴は無かった。
いつもなら俺が家に入ってすぐに、奥のリビングから「おかえりなさい」とダミ声が聞こえるはずなのに。今日は何も聞こえてこない。俺の心のなかみたいに、部屋の中も空っぽだった。帰ってこないということは・・・例の彼女と会ってるのだろう。
急に上山田先生と何年も会ってないかのようにさびしい気持ちになって、俺は引きっぱなしだった上山田先生の布団に寝転んだ。いつも上山田先生が寝るときは布団が大きく見えるのに、俺が寝転ぶと体が全部入らないくらい小さい布団だと気付いた。枕には上山田先生の抜けたチリチリの髪の毛がたくさんついていた。上山田先生の布団からは、カキフライみたいな脂っこい匂いがした。その時チャイムがなって、俺は飛び起きた。
早く上山田先生に会って、俺がどういう気持ちなのか伝えたかった。
たとえ彼女がいたとしても・・・
家に着いてドアを開けようとしたとき、ふと上山田先生が作った表札が目に入った。
「もう松下先生だけの家じゃないんだから表札は変えなければいけませんね」と上山田先生が表札を変えたのだ。上山田先生がモールで作った表札には、<上山田と松下の愛の巣>と書かれていた。「冗談ですよ」と顔を真っ赤にしながら作っていた上山田先生を思い出して胸がぎゅっと痛くなった。
ドアを開けて家に入ったが、玄関にあるはずの小さい靴は無かった。
いつもなら俺が家に入ってすぐに、奥のリビングから「おかえりなさい」とダミ声が聞こえるはずなのに。今日は何も聞こえてこない。俺の心のなかみたいに、部屋の中も空っぽだった。帰ってこないということは・・・例の彼女と会ってるのだろう。
急に上山田先生と何年も会ってないかのようにさびしい気持ちになって、俺は引きっぱなしだった上山田先生の布団に寝転んだ。いつも上山田先生が寝るときは布団が大きく見えるのに、俺が寝転ぶと体が全部入らないくらい小さい布団だと気付いた。枕には上山田先生の抜けたチリチリの髪の毛がたくさんついていた。上山田先生の布団からは、カキフライみたいな脂っこい匂いがした。その時チャイムがなって、俺は飛び起きた。

