Down Mountain Field

職員室に入ってもう昼食の時間だ。
自分の席に着くといつも隣にいるのはカノコ。
入学してからどんなに席替えをしても絶対に隣にはカノコがいる。絶対にただの運命ではないと思っている。カノコが細工でもしているのだろう。


「あぁ~っ、松下先生っっ!」


カノコは職員室に入ってきた俺を見ると腕に絡みついてきた。さっき冷たく突き放したのにしつこい女だ。動物性脂が俺のスーツの腕のところについてキラキラと光っていた。クリーニングに出したばかりなのに。


その時視線を感じて右を見ると上山田先生が教科書の隙間から片目で俺たちの事を覗いていた。背が低いから座高も低いみたいで、立たないとはっきり見えないみたいだ。俺は上山田先生に俺の事をふっきってもらうためにも、俺のこの曖昧な気持ちをどうにかするためにも、いつも断っているカノコからの絡みにノーコメントでいくことにした。カノコは俺が抵抗しないのを見て調子に乗ったのか、俺の首に腕をまわして、


「あたちと、お昼ご飯食べよ?」


と上目遣いで攻撃してきた。
実際魅力を感じるどころか、Tゾーンの脂が気になっって仕方がなかったのだが。