Down Mountain Field

<松下side>



コンピュータールームでゲイじゃない宣言をしてから、俺の頭の中には一日中上山田先生のベットリとした悲しそうな顔だけが浮かんでいた。


情報の時間は生徒に惚れられると面倒だから冷たくするようにしていたのに。うっかり忘れて、笑顔を見せてしまった。久保田はドキドキしたのか顔を赤くして帰っていった。やばい。コレはやってしまったかもしれない。


「ありがとうございました」

「はい、ありがとうございました」


上の空のままの授業が終わった。
デスクトップなのに、気付いたらノートパソコンみたいに閉じようとしてたり、マウスにねずみの顔を描いていたり、キーボードの隙間につまっていたカラムーチョをつまようじで取っていたり。本当にいつもの俺じゃなかった。これも全て上山田先生のせいだ。


教室を出て廊下を歩いていると、塚本先生に会った。
いつも真っ白な白衣を着てポケットに手をつっこんで歩いているイメージがあったのだが、今日は袖のあたりが真っ赤に染まっていた。少し怖くなって左によって通りぎようとした俺を見ると、塚本先生はニヤッと笑いシーッとやって階段を下りていった。あの赤色はなんだったのだろうか。余計なことに関わらないようにしておこう。