「何やってんだよ」
いきなりドアがひらきました。
また誰か加わったのでしょうか。
僕がおそるおそる涙目でドアの方をみると・・・
息を切らした松下先生がいました。
「離れろよ。」
松下先生のこんなに怖い顔は初めて見ました。
松下先生は周りにいた女の人たちを乱暴にどけると僕を部屋の外に無理やりつれだしました。女の人たちはもう僕たちを追いかけには来ませんでした。
僕の服は乱れていました。イチゴ柄のネクタイは部屋の中に忘れてきてしまいました。
「僕のネクタイ・・・」
「こんな時に何考えてんだよ。」
松下先生は僕の肩を持つと、僕をまっすぐ、真剣なまなざしで見つめました。不覚にもドキドキしてしまいます。
「あいつら、男だから。」
「えっ・・・」
どう見ても女なのに。
ありえないではないですか!
どうりで僕より力が強いわけですね。
「はぁ・・・襲われなくてよかった。」
「僕が男に襲われる・・・?男が男を襲うわけがないでしょう。」
「・・・天然なの?上山田先生。そういう趣味のやつもいるってことだろ。」
ということは、僕の松下先生へのこの気持ちも許されるのでしょうか。
それを聞こうと口を開く前に、僕の口は松下先生にふさがれていました。
それは松下先生からの初めてのキッスでした。

