Down Mountain Field



はぁはぁ


僕は職員室に戻って自分の席につくと
机の上に顔を伏せました。

なんて素敵な人だったんだろう。
僕のストライクゾーンど真ん中です。

このドキドキは、僕が高校生の時
音楽の先生に恋したあのドキドキと
まったく同じです。

しかし、これを恋と言っていいのでしょうか。
相手は男ではないですか!


「だ、だめだ」


大丈夫。
まだ深くはまっていないから
今諦めればつらい思いをせずに済みます。

僕がちゃんと座りなおすと
隣から視線を感じました。

今朝、僕を睨んでいた女性が
また僕を睨んでいます。


「なんですか・・・?」

僕が聞くと、彼女はいきなり笑顔になって

「カノコです。よろしくお願いします」

と挨拶してきました。
作り笑いでしょうか。
顔が引きつっています。

僕を嫌いな女には興味がありません。
僕は挨拶を無視しました。