Down Mountain Field


上山田先生が先に家を出た。
スーツを着て家を出ていく彼の姿は、車柄のパジャマを着てぐちゃぐちゃの顔をしていた彼とは打って変わってなかなかクールだった。ただ、背は低かった。

俺もスーツをはおろうと手を伸ばすと、小さいメモが貼られてるのに気づいた。
黄色いシンプルな付箋に、震えた薄い字で、

「今日、屋上で待っています。佐藤」

と書いてあった。
あの婆・・・
俺は絶対に屋上には近づかないと心に決めてメモを小さくちぎってごみ箱に捨てた。

いつものように車に乗って学校へ向かった。
いつもなら車の中から、JKのめくれるスカートを眺めるのが日課だった。
だけど、今の俺にはJKのスカートも佐藤先生の茶色いパンツもどうてもよかった。
俺の頭の中には車柄のパジャマと可愛い小動物しかいなかった。
本当に俺はおかしくなっちゃったみたいだ。

学校に着くと、小さくて茶色いおじさんが校舎の中へ消えていくのか見えた。
理科の塚本先生にしつこく話しかけられている。
あのビニールの袋は・・・
ああ、塚本先生は人の髪の毛を集めるのが趣味だ。
上山田先生も、塚本先生の髪の毛自慢に付き合わされているのか。
俺は後ろから上山田先生を追い越して職員室へ向かった。