次は授業がないので職員室に戻ろうと
僕は階段を降りていました。
すると、
ドカッ
誰かにぶつかってしまいました。
こういうのって面倒ですよね。
謝るのとか。僕は悪くないのですから。
自分から謝る気はありません。
少し気分を悪くして、落ちた教科書を拾いながら
ぶつかった相手を見上げました。
「あっ・・・・」
僕は一瞬呼吸が止まった気がしました。
心臓がドキドキして、今にも口から飛び出しそうです。
僕よりずっと高い背に
浅黒い肌。
冷たいまなざしで僕を見降ろしたあの顔を
僕は一生忘れないでしょう。
「・・・」
彼は僕を見下したまま絶対に謝る気はないようです。
「すみません」
このドキドキが何なのか早く確かめたくて
僕は先に謝り、その場から離れました。

