ふと彼の視線が俺の後ろにうつった。
上山田先生の元から茶色い顔色がさらに茶色くなった気がした。
なんだろ。
上山田先生は泣きそうな顔をしながら、
「・・・ぱっパンツ・・・」
とつぶやくと、俺の顔を見て「しまった」という顔をした。
パンツ?
振り返ると大きくて茶色い小汚いパンツが
上山田先生が寝る予定の布団の上に無造作に投げ捨てられていた。
あぁ。たぶん佐藤さんのだ。
極力触りたくなかったけど、上山田先生の手前ヤバいから俺はさっと汚いパンツをつまみあげて後ろ手に隠した。
「松下先生は、お付き合いしてる女性はいますか?」
上山田先生はいきなり俺の目を真っすぐ見ながら聞いてきた。
もしかしてコイツ・・・
俺のこと好きなのかな?
「いますけど・・・関係なくないですか?」
ちょっといじめてみたくなった。
俺に冷たくされて上山田先生はさらに顔が茶色くなった。
取りつくろうかのように上山田先生は言った。
「松下先生が彼女を家に連れ込んでくるとうるさくて仕事に集中できなくなります。なので、できれば今後は遠慮していただければいいかと。」
平静を装おうとしているが動揺してるのがバレバレだ。
もうちょっといじめてみよう。

