佐藤さんの加齢臭が体にまとわりついて気持ち悪かったから
俺はさっと風呂に入っておいた。
するとすぐにチャイムがなった。
例のおじさんが到着したみたいだ。
どうせくるなら若い女の子がよかった・・・
俺が戸を開くと、見覚えのある男がいた。
低い身長にテカテカで色黒な顔。
プリッとしたお尻に脂ぎった髪の毛。
ぶくぶくした顔で俺を見上げてくる。
これだけ聞くと皆は「気持ち悪い」って思うかもしれない。
だけど、俺には違った。
見上げてくるおじさんが小動物みたいでなんか可愛かった。
俺は若い女の子を見るのと同じ気持ちで彼を見ていた。
それにしても、どこで会ったっけ・・・
「誰でしたっけ?」
「上山田ですよ!上山田」
上山田先生はぴょんぴょんとび跳ねながら言った。
あぁ思い出した。
階段で俺とぶつかって何も言わずに逃げたあの人。
便秘で倒れたあの人。
上山田先生は、ものすごい少ない荷物と
2~3枚ポスターらしきものを丸めて抱えながら
俺の家に入ってきた。
不思議と佐藤さんのような気持ち悪い臭いはしなかった。
良い臭いでもないけど。
奥のリビングにたどり着くまで、ずっと後ろから視線を感じていた。
上山田先生に穴があくほど見つめられているのが分かる。
なんか可愛い。
「ベッドは一つしかないので布団をひきます。上山田さんは布団で寝てください」
そう言ったのに上山田先生は上の空。
俺の顔のあたりをじーっとみてる。
だからなんでさっきからそんな見てくるんだよ。

