中に通した瞬間、佐藤さんは俺の頬に熱烈なキスをした。
少し加齢臭がしてイラッとした俺は、佐藤さんをひきはがした。
「なにするんですか!?」
「松下先生のこと考えたら・・・我慢できなくなっちゃって・・・」
佐藤先生は勝手に服を脱ぎ始めている。
やばい・・・
そんなときに救世主。
電話がかかってきたのだ。
親戚のおじさんからみたいだ。
「もしもし?」
「おぉ、松下か。あのなあ、俺のアパートが燃えちまってるんだよ、はは」
「えっ!?まぢかよ!!ってか笑ってる場合じゃないだろ!」
「いやあ、あのね、俺の隣に死にそうなほど落ち込んでるおじさんがいるんだよ。松下の家にしばらく泊めてやってくんねえかな?」
いつもの俺だったらもちろん断る。
だけど、このおばさんを追っ払う口実になる・・・
「もちろん。大丈夫。早く連れてきて」
即答だった。
隣で勝手に脱いでいた佐藤さんはまた俺に近づいてきた。
「ちょっと待ってください。」
「・・・何かしら、松下君?」
「あの、今からお客さんくるんで。帰ってください。」
「・・・じゃあちょっとくらい!」
「すぐくるんで。帰ってください。」
「そんな・・・」
佐藤さんは少し落ち込んだ様子だった。
それとは裏腹に、俺はホッと一安心。
古いデザインの薄汚い茶色い服を着ると、
佐藤さんはがっくりと肩を落として帰って行った。

