<松下side>
俺は松下望。27歳。
中学高校ではそれなりにモテてきた。
彼女もいたし、童貞じゃないし、
それなりにイケてる人生を送ってきた。
そんな俺は今フリーなんだけど
セフレみたいのがいる。
俺に付きまとってくるやつ。
最初はお母さん的存在だったから
まさか体の関係になるなんて思ってなかった。
2~3日前。
コンピュータールームで授業が終えた俺は
パソコンで皆が提出したものを回収していた。
回収してる途中に、クラスと出席番号が一人だけ
全角入力されてるやつがいた。
1314じゃなくて1314って。
久保田・・・俺が嫌いな生徒の一人。
俺がちょっと不機嫌な時に、あいつが部屋に入ってきた。
「松下君・・・今日も弁当作ってきたわよ」
佐藤さんはニコッと笑うと、小花柄の小汚い布に包まれた
弁当箱を俺に差し出した。
佐藤さんはYISの家庭科の先生で、そろそろ定年を迎えるようなお年だ。
最近は俺にかまってばかりで、毎日のように弁当を作ってくる。
中身は8割が佃煮で、残りの2割がご飯と漬物。
肉が大好きな俺としては相当残念なメニュー。
家庭科の先生だけあって俺を気遣ってるんだろうけど、
お母さんぶるのはやめてほしい。
「大丈夫です、いらないんで。」
ぶっちゃけ佃煮は嫌いだ。
俺はまたパソコンと向かい合った。
「ねえ、松下君・・・あけてくれるだけでもいいじゃない、ね?」
佐藤さんは今にも倒れそうにプルプル震えていた。
歳だし、ここでパタッて倒れられても困る。
俺はしぶしぶ弁当を受け取った。

