「装飾とか、まじだりーよ。なっ?」
「そうか?あたしは結構楽しいけど」
「まじかい。すげーな」
ふたりで準備に使われていない教室に入ってキャッチボールを始める。
「文化祭、超めんどくさい」
「あんたさっきからそれしか言ってないじゃん」
「だって、なにもないもーん」
ふたりの間に少しの沈黙が流れた。
「あ、和泉も清明なんだろ?」
一瞬、どきりとした。
あの日のことを千昭は覚えているのか。
いや、覚えてくれていなくてもいいんだけど。
ぎゅっと抱きしめられたときは、すごかった。
一気に千昭の匂いに包まれて、千昭がすぐそばにいるってことがすごく分かって……。
なんて言うんだろう。
なんか、すごい……そのままでいたかった。
「っぽいよね」
「まじかー。俺だけひとり?」
「柚紗もひとりだよ」
「そっか。そうだな」
また、沈黙。

