「…ちゃんと、笑ってんじゃない…」



私が意地悪してたときでは思いもつかないほどの、雪乃の幸せそうな笑顔。


そして、何度私が告白しても見られなかった、三浦くんの愛しい人を見る優しい笑顔。



（…お似合いね）



お互いが、お互いにしか見せない表情。


それを惜しげもなく見せる二人を見て、ふっと口元が緩んだ。



「…もう、決めたで…」


「…は？」


「へ？」



するとふいに横から聞こえた低い声に、さゆりと同時に振り返る。



そこには我慢するように、ふるふると震える安西がいて。