あまりにも小さなその声に、もう一度聞き返したくなる衝動を抑えて、


先輩の言葉を頭の中で繰り返す。


やいた…?


男の人に…?



“焼いた”じゃなくて、“妬いた”?



…ヤキモチ?




「え……」



力の緩んだ腕から少し体を離して先輩の顔を見れば、ちょっとだけ頬を染めながら不安そうな表情で私を見ていて。



「今日の雪乃ちゃん、ほんと可愛すぎ…。これ以上雪乃ちゃんを好きにならせて、俺をどうしたいの?」


「えっ……ええっ?」



「他の男からの視線も集めてるし…。ねぇ、雪乃ちゃん…」




そう言って、こつんと額を合わせた先輩の瞳は不安定で。



「こんなことで妬く俺…嫌?」