「…はぁ…」



雪乃ちゃんに聞こえないように小さく溜め息をつく。



それに、なに?


俺がいれば楽しいなんて…


ただでさえ雪乃ちゃんにベタ惚れな俺をこれ以上惚れさせてどうするの?



普段はちょっと迫ればすぐに真っ赤になるのに、

ふいに恥ずかしいことをさらっと言ってくるから油断も隙もない。



(あとは…)


ぐるりと周りを見渡してみる。


…と、意識して見たわけでもないのに目が合う男が数人。



俺はそれを確認すると、再び聞こえないくらい小さな溜め息をついた。