黙って屋上を出る。

もちろん、貴方が追いかけてくるなんて少女漫画みたいなことが起きないのも知っている。


なんて私は愚かなんでしょう。
彼女がいる貴方を愛してしまった。
なんて愚かで醜いのでしょう…。

でも、そんな私も嫌いじゃない。
貴方にもっと夢中になりたい。



部屋に戻って屋上を見上げるともうそこに貴方はいなかった。

少し残念に思いながらベッドに横になる。


コンコンッ。


「はい。」



誰かが部屋に来た。
返事をして待つと中に入ってきたのは看護婦さんだった。



「桜ちゃん。調子はどう?」


「うん。まぁまぁかな?」

「そう。気になる彼は?」

「今日話したよ。ハンカチ返してきた。」


「あら?冷たくされなかった?」


「されたよ?」


「意外と元気ね?」


「だって彼が冷たくするのには理由があるから。それに彼女いるしね。」