桜の咲く入学シーズン。

この春から新高校一年生となる相原燐太(アイハラリンタ)は、今日から通う事になったこの貞成高等学校の門をくぐろうとしていた。


「…っしゃ。頑張ってやろうじゃないか」

右手で小さくガッツポーズをし、右足を門の向こうへと進めようとした
その時であった。


「…ぁ」


ふわりと横を通る髪の長い女子生徒
たっぷりとしたその黒髪をなびかせながら
颯爽と校舎へと歩いて行く。
恐らく自分と同じ新入生であろうその少女に
燐太は思わず見とれてしまっていた。
真新しい制服のスカートから
すらりと伸びる足。
放つオーラ。
何もかもが燐太の心を突き動かすような
そんな少女だった。

「(何だよ…あの子。な、何だろうかこの胸の高鳴りは…!)」

そんなことを考えていた丁度その時
体育館の方から聞こえる
アナウンスの声

燐太はハッとなり慌てて時計をみた。
入学式の開始時間は11時。
時刻は
10時…58分…

瞬間。燐太の顔から血の気が引いて行った。

「…ぁああああ!?嘘だろぉおおおおおお!!?」



これが燐太と飯島華那(イイジマカナ)の
出会いであり
同時に
燐太の波乱の入学式の幕開けとなるのであった。