君が星こそ悲しけれ。


「ねぇ、」


「私んちの犬、ついこの間死んだの」


私の言葉を遮るように由衣は口を開く。


その言葉はとても悲しい意味を
持っているはずなのに、何の情も
感じさせない由衣の言い方に一瞬言葉が詰まる。


ふと、あの日の由衣の言葉が頭を過った。


「…泣いた?」


私が恐る恐る問いかけると、
由衣はあの時のように微かに
笑みを浮かべ小さく首を横に振った。


”人間ってさあ、本当に
悲しいときは涙が出ないんだって”


「私はあの日から毎日泣いてるよ。
悲しくなんかないのに、何でだろうね」


「良いんじゃない?泣きたいときは泣けば」


由衣はさらりと言葉を放つと
まるで予想していたかのように
開いていた教科書を閉じ授業終了の鐘が鳴る。