君が星こそ悲しけれ。


ハゲの授業は本当につまらない。


板書するわけでもなく、
ただ淡々と教科書に書いてある
堅苦しい文章を読み上げて50分の授業が終わる。


周りを見ても、誰も耳を傾ける人なんて居ない。


机に顔を伏せて寝ている人、
教科書で漫画を隠して読んでいる人、
携帯のボタンを忙しなく打っている人、
机の影で見えないようにゲームをしている人。


どれもありきたりな光景。


「…この人、本当に意味わかってるのかしら」


斜め後ろから聞こえたのは、
どこか馬鹿にするように小さく囁かれた声。


私が斜め後ろを振り向くと、
退屈そうに頬杖をつきながら
ぼんやりとハゲを見つめる秋山由衣。


拓真に振られたあの日以来から、
由衣と話したことは一度もない。