短くなった煙草を窓から コンクリートの地面へ投げ 捨てると、ようやく私と目を合わせる。 色眼鏡の奥に見えた鋭い瞳に 今にも吸い込まれてしまいそう。 「何が?」 彼から発せられた第一声は 思いもよらない一言だった。 何が?って…さっきのことに 対してぐちぐち文句を言いに 来たんじゃないの?と喉の奥まで 出かかった言葉を私は呑み込んだ。 けれど彼の単調な 言い方からして、どうやら本当に いちゃもんをつけにきたわけではないらしい。