君が星こそ悲しけれ。


窓が開かれたのと同時に
甘いカー香水の匂いと煙草の
匂いが私の嗅覚を刺激する。


そこから顔を覗かせたのは
色素の薄い茶色い髪が無造作に
セットされた所謂(いわゆる)”今時風”の髪型。


世間一般から見れば
整った顔立ちなのだろうけど、
多少怖く見えるのはきっと薄く
茶色がかった色眼鏡を掛けているからだろう。


窓を開けたからといって何を
言うわけでもなく、呑気に煙草を
吸いながら煙で輪っこなんか作っちゃったりして。


まるで私のことなんか
見えていないかのように
煙草を吹かす彼に、私は少し苛ついた。